国分町盛酔記 商い続けて  垂石洋子

「大人が会話を楽しんで、明日への英気を養う。昔はそんな街だったわね」。大内金英堂の専務垂石洋子なんが懐かしむ。
経営する金英堂薬局が国分町通りに店を構えて六十二年。かつては、客と当たり前のように世間話をしたものだった。今は会話がほとんどない。用があっても「トイレ」「両替」と単語だけ。垂石さんは思わず、「トイレ?売ってないよ」と返してしまう。
若い女の子が風邪薬を買いに来た。真冬なのにTシャツ一枚でへそを出している。「そんな格好だと風邪もひくでしょ。ちゃんと食べて寝なさいよ」と声を掛けると「分かったー。ありがと」。「まともな会話に飢えているのかな」と垂石さん。
午後三時を回ったころ、若いホステスが赤ちゃんのミルクを買いにくる。まだ十代だったり、夫婦とも国分町で働いていたりと事情はさまざま。垂石さんは、頑張ってね、と心の中でつぶやく。

河北新報 2007年4月11日

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